用語集

うつ病
気分障害のあり、抑うつ気分、意欲・興味・精神活動の 低下、焦燥、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患です。
双極性障害(躁うつ病)と鑑別するために「単極性うつ病」と呼ば れることもあります。
パニック障害
定期的にパニック発作を起こす不安障害の一種で す。パニック障害は、強い不安感を主症状として、不安神経症と呼 ばれていた疾患の一部です(不安神経症の方が広い概念です)。 パニック障害に悩まれる方は、日常生活にストレスを溜め込みやす い環境で暮らしていることが多く、典型的なパニック障害は、突然 生じる「パニック発作」によって始まります。
パニック発作は、満員電車などの人が混雑している閉鎖的な狭い空 間、車道や広場などを歩行中に突然、強いストレスを覚え、動悸、 息切れ、めまいなどの自律神経症状と空間認知(空間等の情報を収 集し、それに対する反応)障害による強烈な不安感に襲われます。

本能的に危険を察知する扁桃体の過活動により、必要もないのに戦 闘体制に入り、呼吸や心拍数を増やしてしまう。続いてその発作が 再発するのではないかと恐れる「予期不安」と、それに伴う症状の 慢性化が生じ、さらに長期化するにつれて、症状が生じた時に逃れ られない場面を回避して、生活範囲を限定する「広場恐怖症」が生 じてきます。
強迫性障害
強迫神経症とも呼ばれ、不合理な行為や思考を自分 の意に反して反復してしまう精神疾患の一種です。同じ行為を繰り 返してしまう「強迫行為」と、同じ思考を繰り返してしまう「強迫 観念」があります。
強迫症状とは強迫性障害の症状で、強迫観念と強迫行為からなる。
両方が存在しない場合は強迫性障害とは診断されない。強迫症状は ストレスにより悪化する傾向にある。
強迫観念とは、本人の意思と無関係に頭に浮かぶ、不快感や不安感 を生じさせる観念を指します。強迫観念の内容の多くは普通の人に も見られるもものですが、普通の人がそれを大して気にせずにいら れるのに対し、強迫性障害患者の場合は、これが強く感じられたり 長く続くために強い苦痛を感じています。ただし、単語や数字のよ うにそれ自体にはあまり意味の無いものが執拗に浮かぶ場合もあります。

強迫行為とは、不快な存在である強迫観念を打ち消したり、振り払 うための行為です。強迫観念同様に不合理なものですが、それをや めると不安や不快感が伴うためになかなか止めることができな状態 になります。
大半の方は、自らの強迫症状が奇異であったり、不条理であるとい う自覚を持っているため、人知れず思い悩んだり、恥の意識を持っ ている場合も多いといわれています。また、強迫観念の内容によっ ては罪の意識を感じていることもあり、自分だけの秘密として、家 族などの周囲に内緒で強迫行為を行ったり、理不尽な理由をつけて ごまかそうとする行動をとることがあります。逆に自身で処理しき れない不安を払拭するために、家族に強迫行為を手伝わせようとす る「巻き込み」と呼ばれる行動をとることもあります。
身体表現性障害
身体疾患を示唆あるいは、疑わせる何らかの身 体症状を示しますが、その症状が身体疾患または他の精神疾患に よって完全には説明されないことを特徴とする精神疾患の総称です。 痛みや吐き気、しびれなどの訴え・症状に合致する身体的異常や検 査結果がないにもかかわらず、これら身体的な症状が長い期間にわ たって存在する病気です。症状は体のさまざまな場所に生じ、しば しば変化します。患者さんの中には、症状を身体的に説明する原因 がないということをなかなか受け入れられず、医療機関を転々とし てしまう患者さんも多く、精神科受診に至るまでかなりの時間がか かってしまうことも少なくありません。また、多くの方では、そう した身体症状のために仕事や家庭などにおける日常生活に支障が出 ています。
社会不安障害
社交場面で否定的な評価を受けたり、他人に辱め られることに強い不安を感じることを主な症状とする精神疾患で す。社交恐怖とも呼ばれ、 対人場面で過剰な不安や緊張が誘発されるあまり、動悸・震え・吐 き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現し、そういった場面に はなかなか慣れないため、対人関係がうまく築けず集団の中で孤立 してしまったり、たとえしなければならない事であっても、対人場 面を次第に避けるようになり、日常生活に多大な影響を及ぼすこと もしばしあります。
社交不安障害患者が強い不安を感じる場面として、最も多いのが 「見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話」と「人前での発言・ スピーチ」、次いで、「権威がある人(社会的立場が上の 人)との面談・会話」、「会社で電話をとる」、「受付で手続 きをする」、「人前で文字を書く」、「人前でご飯を食べる」、 「会食やパーティに参加する」「自宅(ストレスとなる因子がある場 合)」などがあります。
胃潰瘍
主に胃酸が要因となって胃に生じる潰瘍(粘膜がクレー ター状に掘れた状態)のことです。通常は、強酸である胃酸の分泌 に対し、胃内の粘膜は粘膜保護作用を有しており、この攻撃因子・ 防御因子のバランスが保たれているますが、粘膜保護作用の低下に よって防御因子が低下することで潰瘍を生じます。
但し、近年、ヘリコバクター・ピロリ(H.Pylori)と胃潰瘍 の因果関係が確実視され、H.Pyloriが胃前庭部に潜伏し持続 的にガストリン分泌刺激が促され、胃酸分泌過多を生じることに よって潰瘍が生じるとされています。
リスクファクターは他に、胃粘膜保護の減少である防御因子の低下 を助長するものであり、飲酒・喫煙・塩分・熱いもの・ストレス・ コーヒー(カフェイン)・NSAIDs(非ステロイド系消炎鎮痛 薬 )・ステロイドが知られています。
過敏性腸症候群
主として大腸の運動および分泌機能の異常で起 こる病気の総称です。検査を行っても腸の炎症や潰瘍といった器質 的疾患が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、腹痛、ガス過 多による下腹部の張りなどの症状が起こります。症状は主に便通の 異常であり、症状の現れ方によって、不安定型、慢性下痢型、分泌 型、ガス型の4つに分けられます。
腸の運動を司る自律神経に異常による大腸を中心とした消化管運動 の異常、消化管知覚閾値の低下、精神的不安や過度の緊張などを原 因とするストレス、ライフスタイルのゆがみなど複合的な要因が指 摘されており、また、元々神経質な性格であったり自律神経系が不 安定であったりする人が、暴飲暴食やアルコールの多量摂取などを 行ったり、不規則不摂生な生活、過労や体の冷えなどの状態に置か れた場合に症状が発生する場合があります。
不眠症
必要に応じて入眠や眠り続けることができない睡眠障害 でをさします]。そしてそのことが持続し、著しい苦痛、また は社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引 き起こしている場合には精神障害となる可能性があります]。 不眠症は、入眠や睡眠持続が難しかったり、睡眠の質が悪いといっ たことが続いているという特徴を持ち、いくつかの医学的な兆候と 症状を伴う医学的また精神医学的な障害であると考えられています。 睡眠の問題を抱える人にしばしば睡眠薬が用いられ、たまに使用さ れれば症状緩和に役立ちますが、定期的に長期的に用いた場合、薬 物依存症や乱用につながることがあります。 不眠症は、原発性と二次性、あるいは併存の不眠症に分類され、原 発性不眠症とは、医学的、精神医学的また環境的な原因がない睡眠障害、 二次性不眠症とは、身体疾患、精神疾患、薬物の使用等によるもの をさします。